17~18世紀の英国ケントの沼地を舞台に、少女Willaの冒険を描く歴史ゴシックファンタジー。呪い、移動サーカス、怪談などのゴシックの要素が英国の荒涼とした沼地によく合っていて、冒頭から引き込まれる。文字と地図が禁止された土地で、祖母や母が書き残した本から知識と思考力を得た娘たちが活躍し、父親の支配を打倒するというストーリーはかなりフェミニズム的だ。父親が自分たちにした悪行は許さないが、かつては良い部分もあったひとりの人間としての父の死は悼む、というWillaの姿勢に考えさせられた。
物語の雰囲気や設定を初めからうまく表現しつつ、次々と事件が起こるのでテンポよく読み進めることができ、最後まで飽きさせない。